アヒルネ

全く為にならない文章の数々です。

遺影の心配がなくなった

 

 

こんにちは、もりけんです。

今日は最近あった出来事を短めに書きます。

珍しく妄想ではないです。

 

 

 

 


俺はアメリカの民謡"ブルーグラス"という音楽を演奏するサークルに所属しており、「ドブロ」というちょっと変わった楽器を弾いてる。

ギターの一種なのだが、変な持ち方と変な道具を使って、変な音を出す。

 

 

調子に乗ってジブリのコピーとかもしてる。

今回本題ではないのでドブロの詳細は各自ググってほしい。

 

 


一ヶ月くらい前、いつものようにサークル棟の外ベンチでドブロを練習していると、知らない外国人女性(美女)に声を掛けられた。

 

 

 

「アノー、コンニチハ。」

 

 

 

 

高い鼻、彫りが深く、青い瞳に金髪という分かりやすい美女。慣れない日本語がかわいらしい。

外国人に声をかけられるだけでビクついてしまうのに、加えて美人でかわいいとなると相当キョドっていたに違いない。

テンパって反復横跳びをしていた可能性まである。さて、いったい何の用だろう。

 

 

 


「シャシン、トテモイイデスカ?」

 

 

 

 

えっ?

 

えっえっ。シャシンてあの写真?

俺の??

 

 

「写真とても良いですか」、「シャー芯取ってもいいですか」など他の変換を試すが、どれも文脈がおかしい。つまりここに紛れもなく、美女が俺の写真を撮りたい、撮らせて下さい、という状況が存在している。世界記録を破る勢いの反復横跳びが止まらない。

 

 

いや待て、話がうますぎる。

彼女が北朝鮮のスパイである可能性も、流れでマジックミラー号に誘導される展開も否めない、ここは丁重にお断りを。

 

 

 

 

 

「あー、オーケーオーケー」

軽率に快諾した。人は写真を撮ってもいいか聞かれると気をよくする生き物である。

 

 

 

 

 

「オウ、センキュー!」

 

 

そして怪しげな写真撮影会、開始。

美女、自前の一眼レフを構える。

俺、猫踏んじゃった級に簡単な曲とスケールを追うだけの適当なフレーズをドヤ顔で弾く。

美女、それを熱心に撮る。

すげー熱心に撮る。

人は異性に写真を撮られると気を良くする生き物だ。

気分はメンズノンノ専属モデル。

くるしゅうない。

笑いも止まらない。

 

 

 

 

そして最後に連絡先を交換するイベントが発生。

怪しい宗教めいた勧誘メールや不当請求スパムメールが鬼のように届く事を危惧したが、もし万が一彼女が俺の連絡先目当てで話しかけたのだとしたら、という仮説が頭をよぎる。

俺とメル友になりたい、その一心だとしたら。ヨーロピアンな乙女心だとしたら。

そう、ここで引いたら男が廃るのだ。

もはや迷いなど消えた。

 

西欧美女 に メアドを教えますか?

▶︎はい       いいえ

 

 

すると、

 

 

「今度写真送りますね。」

 

みたいな事を流暢な英語で言われた。

人は流暢な英語に弱い。俺の耳を持ってしても何を言っているのかよく分からなかったが、全人類共通言語Thank youを駆使し、いい感じの雰囲気で別れる。

恋に言語・国境など関係ない。あの瞬間、俺たちは確かにハートで繋がっていたのだ。

 

 

 

 

 


しかしそれから一ヶ月。

撮った写真も宗教勧誘も、デートのお誘いすら届かない。

おかしい。

ハートの繋がりに若干疑惑を感じる。

よほどシャイなのか、やはりここは男の俺が一発…と奮起していたら、先日ついに写真が届いた。

 

  

 

 

 

 

 

それがこちら。

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おおおお。

すげえ。

思ってたよりすげえ。

自分のことだが、カッコいい気がする。

 


遊戯王カードだったら「魂を鎮める者ケンモリ」みたいな名前がつきそうだし、星4魔法使い族、攻撃力1200、守備力2000、このカードは罠・魔法・特殊効果では破壊されない、みたいな威厳も漂う。少なくともホーリーエルフよりは強い自信があるぞ。

 

モノクロ編集は写真がどうしてもカッコよくならない時の最終手段と聞いたこともあるが、それにしても嬉しい。

実際は雑魚みたいな曲を弾いているが、写真になってみるとプロの演奏が聴こえてくる気もする。

 

 

 

文章も添えられていた。どれどれ。

 

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は?

submitted it for the Tohoku photo Contest…。

 

 

美女、どうやらこの写真をフォトコンテストに出すつもりらしい。

いや、過去形なので出したらしい。

俺氏、唐突なフォトコンデビュー決定。

ヨーロッパにはプライバシーという概念がないのか。

詳細URLはこちらじゃねぇんだよ。

美女だからってGood luck with music.で何でも片付けられると思うな。

破天荒。

破天荒すぎるぜ、西欧美女。

まあ嬉しいからいいけど。

優勝しろよ。

 

 

 

それよりも問題なのは、俺の読解力を持って72回程読み込むも、メールから彼女の好意を読み取ることができなかった点だ。

あの思わせぶりな態度はなんだったのだ。

恋とはときに残酷である。

 

 

最後に怨念をこめて偏差値と語彙力が圧倒的に足りない感謝メールを送りつける。

 

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メールは気持ちが大事だ。

 

 

 

 

 

それから一週間。
このメールに返信はなく、彼女との関係は全く進展の兆しを見せない。

 

しかし俺はそんなに落ち込んでない。

軽いモデル気分を味わえた上、最高の遺影を頂くことができたし、彼女はプライバシーを知る日本人であってほしい。

ありがとう、ミステリアス西欧美女。

そしてさようなら。

アイコンにします。

 

 

 

おしまい。