アヒルネ

全く為にならない文章の数々です。

進撃の巨人の最たる魅力はリヴァイ兵士長の圧倒的な強さ

 

やっと「進撃の巨人」という漫画を読んだ。

いま10周年かなんかの記念らしくて、1〜28巻が無料で読めるという素晴らしいキャンペーンを実施してらっしゃったので、直ちに一気読みさせて頂いた。本当にありがとう。

 


思うところがあったので感想を軽く述べておきたい。ネタバレをちょっとだけ含むので未読の方はここでブラウザバックをおすすめするが、リヴァイという男が最強すぎるという事実だけは覚えて帰ってほしい。

 

 


 

 


まず一読して思ったのは「リヴァイが最強すぎる」という一点に尽きる。強い。強すぎる。圧倒的に桁が違う。強すぎて笑ってしまう。それが如実に分かるシーンがいくつも存在する。

 

 


主人公のエレンは必死で巨人と戦って手に汗握る展開の中ギリッギリ勝つもしくは負ける。

リヴァイは違う。その横で3秒とかからずボスっぽい巨人を半殺しにする。

 

敵の巨人が無数の石つぶてをリヴァイの軍隊へ浴びせたことがあった。リヴァイの周りの兵士はそれをくらい、ほぼ全滅する。

リヴァイは違う。リヴァイには何故か当たらない。かすりもしない。

 

強いボス敵とリヴァイ軍が戦うシーンがある。司令塔のエルヴィンが作戦を立てる。その推定50名の軍隊を使った作戦がこうだ。

49名で敵の気を引き、リヴァイが敵のボスを倒す。もはや作戦じゃない。リヴァイ頼みだ。

 

またあるときはボスの巨人が手下の巨人推定20体ほどでリヴァイの周りを取り囲む、しかも奇襲。勝利を確信したボスの巨人はその場を立ち去りながらこう語る。

「自分達には力がある、時間がある、選択肢がある。そう勘違いしてしまったことが…リヴァイ…お前の過ちだ。」

しかしリヴァイはその2ページ後、20体の手下巨人をぶち殺し、ボス巨人の前に現れる。そしてそこから約10ページ後、四肢を切り裂いてズタボロになったボス巨人の髪をわし掴みにして、涼しげな表情を浮かべたリヴァイはこう言うのだ。

 

「まあ、殺しやしねぇから安心しろよ。すぐにはな。」

 

 

 

 

 

 

違う。リヴァイだけが違う。

進撃の巨人に登場するキャラクター達は皆、その差はあれどマリオやルイージとなり、キノコやファイヤフラワーを駆使してなんとか巨大クリボーに立ち向かう。

リヴァイは違う。こいつだけが無敵スターを纏い、一撃であらゆる敵を薙ぎ払う。無双。ポコッポコッポコッという効果音と共に歴戦の強敵が次々と沈んでいく。

 


また、このリヴァイというキャラの立ち位置は他のマンガでもよく見られる「強キャラ」と言われるポジションだが、リヴァイの強さは群を抜いていると思う。

私が好きなハンターハンターで言うとヒソカあたりが強キャラだと踏んでいたが、結局彼もクロロとのタイマンで一度負けている。ワンピースで登場するシャンクスも割と強そうだが、よく考えたら彼は第1話で片腕を魚に食われている。


リヴァイは違う。

リヴァイは負けない。片腕も無くならない。第7巻あたりで一度だけ仲間を庇って左足を骨折(?)したが、次の回普通に歩いてるし、しばらくして調子を聞かれると「割と動くようだ…悪くない。」とすさまじい回復力を見せつけてくる。捻挫くらいの感覚だ。

 

 

 

 

 

 

このリヴァイという男の圧倒的なまでの強さ。これこそが「進撃の巨人」という作品をより面白いものへ押し上げるスパイスとして機能していると私は考える。


進撃の巨人は、ざっくり言うと人間が巨人に蹂躙される世界を描いている。巨人と人間の体格差、理不尽な恐怖に怯え、絶望し、不安に塗れた世界。その中で立ち上がる男達の勇姿。そこに絡みつく人間の浅ましい欲、陰謀、葛藤。それらを精巧な時間軸操作とトリックで描きあげる。その辺りにも確かに魅力を感じた。


しかしそれらを一切ものともしない奴が一人いる。

リヴァイがいる。


その安心感たるや。

常にドキドキしながら読んでいる読者もリヴァイが戦えば安心する。


巨人は恐ろしい。見つかったらひとたまりもない。その巨人を操る巨人までいる。超コワイ。

でも安心して欲しい。リヴァイがいる。リヴァイだけは誰にも負けない。屈しない。


登場人物は次々と無惨な死体に変わっていく。共に訓練を積んだ仲間、信頼を培った兵士団のみんな、途中から出てきた今にも殺されそうな雰囲気を出してるモブ。みんな死ぬ。すぐ死ぬ。すぐ巨人に食われる。もうやだこんな世界。この世界に希望なんて…、

ある。リヴァイがいる。リヴァイだけは死なない。他の全員が死のうとも、地球から生命が消えようとも、リヴァイだけは悠然と立ち、鋭い眼つきでこちらを睨んでいる。


この腐りきったディストピアの中で我々を冷たくも優しく包み込む光。それがリヴァイ。この強さ。パワー。安心感。抱擁感。


不安な世界観と安全安心のリヴァイ。この対比が、ささやかな勧善懲悪の予定調和が、私の中の進撃の巨人をより高い評価へと押し上げた。

 

 


 


さあ、安心して最新29巻を読もう。そろそろエレンが死ぬかもしれない。アルミンがミカサを食べるかもしれない。ジャンが川で溺れ、エルヴィンが息を吹き返し、コニーが原爆で世界を火の海に変えるかもしれない。

 


それでも、リヴァイだけは生きているから。